メジャーリーグの移籍ニュースを見ていると、ときどき登場する「クオリファイングオファー(QO)」。
聞き慣れない制度なので、最初は「結局どういう仕組みなの?」と戸惑ってしまう方も多いですよね。
実はこのQO、選手や球団の“駆け引き”がぎゅっと詰まった制度で、理解しておくとFA市場での話題がぐっと面白くなります。
提示期限や拒否した後の動きなど、知らないとニュースが分かりづらい部分も、順番に整理していくと意外とシンプル。
この記事では、QOの基本の仕組みから、メリット・デメリット、提示期限や拒否後の流れまで、初めての方でもわかるようにやさしくまとめています。
MLBにそこまで詳しくない方でも読みやすい構成にしているので、どうぞ気楽に読み進めてみてくださいね。
クオリファイングオファー(QO)とは?まずは制度の基本をシンプルに解説
クオリファイングオファー(QO)とは、FA(フリーエージェント)資格を持つ選手に対し、元の球団が提示する“1年限定の高額契約”のことです。
NFLやNBAでは似た制度がありますが、特に仕組みが分かりやすいのがMLB。
MLBでは 上位125名の平均年俸をもとに毎年金額が決まる ため、提示額は基本的に大型契約級の数字になります。
2025年オフに適用された金額の目安は 約2,202万5,000ドル(約34億円)。
この金額を元球団が「1年契約でどう?」と提示し、選手は 受ける or 拒否する を選びます。
●受けた場合
→その球団で1年間の契約が確定。
●拒否した場合
→FAとして全チームと交渉可能。ただし、選手を失う形となる元球団には“指名権補償”が入る仕組みです。
さらに、QOはその選手が キャリアで一度しか受けない制度 のため、毎年の判断がとても戦略的になります。
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QOは「高額1年契約」+「補償制度」がセットになった、FA交渉のスタート地点のような制度なんです。
QOを受けるメリット・デメリット|選手と球団それぞれの視点で紹介
◆選手にとってのメリット
選手側の大きな魅力は、短期間で高額報酬が保証される安心感。
1年だけとはいえ“リーグトップ級の年俸”が確定するため、怪我や不調リスクに対する“保険”のような効果があります。
さらに、慣れた環境でプレーできるので、移籍による生活面や起用法の不安が少なく、翌年のFA市場で再評価してもらうための“勝負の1年”にできるのも特徴です。
◆選手にとってのデメリット
ただし、1年契約である以上、長期契約のチャンスを逃す可能性があります。
大きな怪我をすると翌年の価値が下がってしまい、「1年稼げても、その後の大型契約を失う」というケースも。
また、QOを拒否してFAになると「補償が必要な選手」と見られるため、獲得球団が指名権を失うリスクを考え、他球団からのオファーが伸びにくくなるのも影響します。
◆球団にとってのメリット
球団は長期契約のリスクを避けつつ、主力クラスを1年だけ確保できる のが大きな利点。
しかも、QOはトレード拒否権が付くケースもほぼないため、状況によってはシーズン途中でトレードして未来の戦力に変えることも可能。
また、QOを提示して拒否された場合でも、補償指名権を得られるため、戦力流出のダメージを最小限にしやすい制度です。
◆球団にとってのデメリット
想定外に選手がQOを承諾すると、突然 年俸34億円規模の枠が埋まってしまう ことも。
補強の予算計画が崩れやすくなるため、球団にとってもリスクのある判断です。
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高額1年契約は魅力だけど、長期契約を逃したり補強計画が狂ったり…お互いに“諸刃の剣”なんですね。
QOの提示期限はいつ?スケジュールと締切後の流れを解説
QOには毎年決まったスケジュールがあります。
◆QO提示の時期
MLBでは ワールドシリーズ終了から5日以内 に球団がQOを提示します。
2025年は 現地11月6日 が提示期限でした。
◆選手が判断する期限
選手は提示されてから 10日以内 に「受ける」「拒否する」を決める必要があります。
2025年は、現地11月18日午後4時(日本時間19日午前6時)が回答期限でした。
◆期限後の流れ
●受けた場合
→翌シーズンの1年契約が確定し、他球団と交渉はできません。
●拒否した場合
→FA市場へ移行し、全球団との交渉が自由に。
元球団との再契約も可能です。
なお、QOは1選手につき 生涯1回だけ 提示できるため、過去に受けた選手には再度出せません。
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ワールドシリーズ後すぐに動き出す制度で、10日という短い決断期間が毎年の注目ポイントです。
QOを拒否したらどうなる?FA移籍の流れを丁寧に紹介
QOを拒否する=すぐにFA市場へ。
ここからが移籍の本番です。
◆FA市場で完全フリーに
QOを拒否した選手は、全30球団と交渉できる完全な自由契約になります。
もちろん元球団と再契約することも自由で、制限はありません。
◆補償が発生する仕組み
拒否した選手が他球団と契約した場合、元球団は
●ドラフト指名権
●国際ボーナスプール
などの補償を受け取ります。
反対に、獲得する球団には“指名権を失う負担”があるため、「欲しいけど補償が重い…」
と慎重になる球団もあります。
これが、QOを拒否した選手の市場が読みにくくなる理由のひとつです。
◆複数年契約のチャンスも広がる
とはいえ、QOを拒否して大型契約を勝ち取る選手も多数。
FA市場では年数・総額・出来高などを細かく交渉できるので、キャリアのピークにいる選手は高額複数年契約を狙いやすくなります。
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QOを拒否=“本気で市場勝負に出る”ということ。大きな成功にも、慎重さが必要な難しさにもつながる選択なんです。
まとめ|QOを理解すると移籍ニュースがもっと楽しくなる!
QOは、
✔ 高額な1年契約
✔ FAへの自由な挑戦
✔ 元球団への補償制度
が組み合わさった、MLBならではの奥深い制度です。
選手からすれば「短期の安定か、長期の成功を狙うか」の選択。
球団にとっては「戦力維持とリスクコントロール」の最適解を探る場でもあります。
毎年オフに「QO提示」「受諾」「拒否」のニュースが流れるたびに、
「この選手はどんな判断をしたんだろう?」と背景が分かるだけで移籍市場の見方が変わってきます。
これを機に、冬のMLBニュースもぜひ楽しんでみてくださいね。
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QOのしくみを知ると、移籍ニュースの裏側が分かってMLBがもっと面白くなりますよ!

